日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年3月16日説得力のある話し方の秘訣とは?



★自分の発言に焦った参加者


日本話し方センターでは企業研修も行っています。「社員の話す力を向上させたい」「より良いコミュニケーションスキルを身につけさせたい」など、企業様のご要望に応じてコンテンツをカスタマイズして提供しています。以前、ある会社からコミュニケーション研修の依頼があり、私が講師を務めました。最後に今回の研修の感想や学んだことなどをグループで話し合ってもらい、全体に発表してもらった時のことです。こんな場面がありました。
「今日教えてもらった内容は本で読んだことがあったり、テレビで聞いたことがあったりしてどれも目新しいものはありませんでした」と、ここまで話した後、「あっ!すみません!!!違うんです! つまらなかったとかそういうことじゃなくて、知っていたことでも自分でやってみるとできていなかった、そのことに気付いたことが大きな学びだったということが言いたかったんです! すみません!!!」
発言した参加者は、かなり慌てて付け加えられました。





★話が正しく伝わる手法とは?


皆さんも、自分の話が勘違いされるそうになってあわてたという経験はあると思います。では、上の例ではどういう話し方をすればよかったのでしょうか?
例えば、話を始める前に「今日の研修では大きな気付きがありました」と話せばどうでしょうか。聞き手は「ああ、この人はポジティブな話をするんだな」と思い、その後に「目新しい話はなかった」と続けても発言の趣旨を誤解することはないでしょう。話す人も誤解されるという恐れを感じることなく、自分のペースで話ができたと思います。この「今日の研修では大きな気付きがありました」のように、話の方向性を示すものを日本話し方センターでは『主題』と呼んでいます。


主題とは、自分が言いたい主旨をまとめた短い文章です。主題を始めに言うことで、聞く人はどういう話をするのかがわかり話を聞く準備ができます。言わば、聞き手の頭の中に話を受け入れる箱を作ることができるのです。そして、その箱を作ってから具体的な話をすることで、聞き手は安心してその箱に話の内容を入れることができるのです。



★『主題』は全ての話す場面でとても有効


ところで、ここまで読まれた方の中には、「なるほど、要は結論から先に言うということだな」と思われたかも知れません。しかし主題は結論よりも幅広い概念です。例えば、誰かに相談をする場合でも主題は大切です。
「ちょっといいですか。会社の決済ルールが変わるので、この事務手続きも変えないといけないと思って担当部署に確認したんです。そしたら、その回答がよくわからないので別の人に聞いたところ~~」と状況の説明から話し始めるという場面をよく見かけます。しかし、この相談の仕方では、相談をされている人はずっと「だから何が聞きたいの?」と少しストレスを感じながら聞くことになります。また、何を相談されているのかを懸命に推測しながら聞いているので話に集中できません。
話の最初に「この件を誰に相談したらいいか教えて欲しいんです」というように『主題』を言えば相談される人はどういうことを答えればいいのか心の準備ができるので、安心して話を聞くことができます。


また、朝礼のスピーチでも、いきなり「この間、山陰地方に旅行に行きました。泊まった旅館は夕食はおいしかったのですが、部屋が今一つきれいではありませんでした。~」と延々と事実を話す人がいます。こうした場合も聞き手は「で、何が言いたいんだろう? 話のオチは何だろう?」とずっと考えながら聞くので少なからずストレスを感じてしまいます。
話の冒頭に「よく調べてから行動しよう、という話をします」と、話の方向性(=主題)を示してから具体的な事実を話せば分かり易い話になるでしょう。


話は「相手ありき」です。相手が話を聞く準備ができるように心を配ることは、聞き手に分かり易い話をするためにとても重要です。
その一つの手段として最初に『主題』を言うことはとても有効です。ぜひ実行してみてください。



★より良いコミュニケーションの取り方を学びませんか?


日本話し方センターのベーシックコースでは、今回ご紹介した『主題』をはじめとして、伝わる話し方をして人間関係をよくするということに関して幅広く講義、実習をご提供しています。ぜひ一度無料体験教室に参加して、その実際の雰囲気をお確かめください!

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